ナインスケッチ

浜松市で雑木の庭づくりや外構デザイン、エクステリアをはじめ、インドアグリーンの販売やコーディネートを手掛けるナインスケッチさん。

住まいを「外」から考えることを大切に、自然の植生を生かした心地よい空間を提案されています。当社とは起業時に事務所をシェアするなど縁が深く、「ナインスケッチ」という会社のネーミングやロゴマーク、ホームページ、パンフレットなど、ブランディングデザインを任せていただいています。

大切な要素と「らしさ」を切り取って

「人が心地良いと感じるものは、家の中よりも自然の中にあふれていて、庭と家が調和するような自然を感じる場所をつくりたい」と、代表の田中さん。

外構デザインをプランニングする中で、「緑、光、影、水、土、風、鉄、石、硝」の9つの素材を使うことから、会社名のネーミングには9つの素材を自由にスケッチするという意味を込めて「ナインスケッチ」を提案。言葉の響きもよく即決してくださいました。

ロゴマークは、シンプルなデザインですが、植栽だけではなく石やコンクリートも取り扱うので、温かみとシャープな印象を与えるスマートな書体にしています。

起業時代はスタイルの模索

社名やロゴマークが決まり、2012年に起業した田中さん。起業当初は、自分の軸となるスタイルを模索する日々でしたが、千葉県にある高田造園設計事務所さんと出会ってから大きく変化していきました。

田中さんが高田造園さんの「雑木の庭」の考え方を教わってから、高田さんが主催する講座やワークショップに足繁く参加し、雑木の庭についての考えを深めていきました。

「大地の再生」の理念に共感

そんな中、田中さんは造園技師の矢野さんと「大地の再生講座」で出会います。矢野さんは、庭づくりに「水脈改善」を取り入れ、「大地の再生」の実践・普及をはじめとしたさまざまな活動をされています。

矢野さんとの出会いも田中さんにとってのターニングポイントのひとつでした。

矢野さんの「土の中にも地上と同じように空気と水が対流する気象の環境がある。空気が滞ることによって木は傷み、大地も傷み、災害にもつながっている」という言葉に衝撃を受け、この考え方、視点をたくさんの人に発信したいという想いが強くなっていきます。

雑木の庭の「心地よさ」を伝える

この頃から自然環境に着目して、大地の中の空気と水を考慮しながら本格的な雑木の庭を手掛けることに注力し始めた田中さん。

その信念を伝えられるように、本格的な雑木の庭のパンフレットなどを制作。パンフレットのデザインでは、わかりやすく伝わるようにコピーライティングも当社が手がけています。

ナインスケッチさんでは、見た目だけのいわゆる「観賞用」ではなく、自然の森林のように、木も健康に育つ、雑木の庭づくりを徹底しています。

その「想い」が伝わるホームページやパンフレットを見て、「こんな庭がほしい」「雑木の庭についてもっと知りたい!」というお客さまも増えていき、「雑木の庭といえばナインスケッチ」とおっしゃる声も、じわじわと聞かれるようになっていきました。

人との出会いが飛躍の原点

2014年の浜名湖花博庭園コンテストでは「浜松市長賞」を受賞し、徐々に知名度を上げていきます。

さらにナインスケッチさんが手がけた公共施設のひとつが、浜松市の中心街にあるコミュニティースペース「Any」の植栽。しかし、駅近の中心街という土地柄、地面はコンクリートで覆われ、木が生育するのに適さない環境でした。

田中さんはまず、コンクリートを取り払う作業から始め、今ではナインスケッチさんを語る上で欠かせないキーワードである「水脈改善」の手法を取り入れ、木々がすこやかに育つ環境を整えていきました。

完成した庭には、人々が集まり、くつろげる癒やしの空間に変化しました。

「ブレない」目標でさらなる進化

その後、「水脈改善」について、多くの方に知ってもらおうと、矢野さんを迎えて「大地の再生講座」を浜松市にある天竜で主催。水脈改善についての基礎的知識と、スコップ一つで誰でも実践できる水脈改善について多くの方々に伝えました。

この「大地の再生講座」は毎年、定期的に開催されるようになり、「水脈改善」の大切さを知ったことで、ナインスケッチさんのつくる「雑木の庭」や「地形を生かした外構デザイン」の進化が、さらに加速しました。

「大地も、山自身も、生きている。呼吸しているということから伝え、大地には、人と同じように水と空気を通す『水脈』という、大地の血管が張り巡らされいる。このことを理解してもらうことからできればと思います」と、つねづね熱く語られる田中さん。

災害大国の日本でも、自然環境を整えることで、樹木はすこやかに育ち、私たちにとっても心地よく過ごせるのですね。さまざまな活動を通して、雑木の庭や水脈改善を広めるナインスケッチさんの挑戦はまだまだ続きます。

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