創業1934年、静岡県の浜松市・磐田市を中心に、中学・高校の学生服などを手掛ける老舗企業「キンパラ株式会社」さん。
通称「制服のキンパラ」として地元でも親しまれ、学生服の他にも、企業ユニフォームや作業服、事務服、オーダースーツなど、製造販売から生産委託まで行っています。
老舗企業が今後の方向性について模索
そんなキンパラさんからブランディングのご相談があったのは2020年秋ごろ。
学生服などの学校衣料品は子どもたちにとって必要不可欠なものです。しかし、その学生服の商品自体の差別化が難しく、今後の方向性などを模索されていたようです。
思案する中で感じたのは、選ばれるには「ブランディング」が必要だということ。
そんな強い思いを持って、ブランディングの専門家である当社をたずねてこられました。
「自社の強み」を新たな視点で掘り起こす
まず注目したのは、もともと自社工場をかまえ、縫製技術もあり、制服の補修もできるなど、バックヤードが充実していること。
さらにショッピングモールをはじめ、県内ではトップクラスの店舗数があるということでした。
業界や社内では当たり前だと思っている技術や設備は、実は世間にとっては目新しく、魅力的なものだと、見落とされがちなケースが多々あります。
中小企業のブランディングは、このような小さな「気づき」から始まります。
WEBやインスタでの情報発信
商品を「売り出す」という方向性ではなく、人や工場、店舗の背景を伝えていくことが必要だと考え、それを伝えるためにホームページをリニューアルし、写真と動画をたっぷりと掲載することにしました。
そして、多くの方に伝える場作りとして、インスタの開設から運用まで、寄り添いながらサポートしていきました。
ハレの思い出は、ワクワクする場所で
ホームページやインスタなど、WEBでの発信が強化された次に計画したのは、本店のリニューアルでした。
制服選びは、お子さんにとっても、親御さんにとっても大切な記念になる日。ワクワクする空間で制服を選んでほしいという思いがリニューアルを決める一押しに。
また、お子さんの成長を感じる大きな節目でもありますが、制服は高価なものなので、親御さんにとっては高い買い物にもなります。そんな親御さんの気持ちをあげるためのブランディングを確立し、本店をフラッグシップ店としてリニューアルすることで、その「想い」を感じてもらえるショップ作りを目指しました。
また、キンパラさんの歴史や背景をわかりやすくロゴマークで感じてもらえるように、ロゴマークもリニューアル。
セーラー服と校章をモチーフにして、古臭くなく、西洋の紋章のような、歴史を感じつつ、普遍的なものを感じてもらえるようデザインに仕上がっています。
時代の「変化」に対応
さらに本店のリニューアルに合わせて、学生服のリユース専門店「リパラーレ」を立ち上げました。
不用になった制服を買い取り、補修してから販売することで、SDGs(持続可能な開発目標)の推進にも貢献し、環境への配慮や資源の有効活用にもつながります。
引き取った学生服を自社工場で補修し、ネームの取り替えなどを施すことができるのも、キンパラさんが自社工場を持っているからこその強みでもあります。また、学生服専門店がリユース品を一緒に扱うのは非常に珍しく、新しい取り組みです。
ブランディングの取り組みは中長期戦で、まだまだ浸透させていくには時間がかかります。まずは、ブランドのコンセプトや顔つきを整えたキンパラさん。新しいチャレンジがどのような「カタチ」に変化するのか楽しみです。